2024年10月13・14日、沖縄県宜野座村の劇場「がらまんホール」で、アートプロジェクト「KIZUNA」の公演が行われました。沖縄とヌーシャテルのアーティストが描く壮大な生命の物語。2021年から継続する本プロジェクが示唆するバイタリティある未来とは?
大地、社会、そして世界――すべてをつなぐ『Les Liens(絆)』を描いた『KIZUNA―絆―』プロジェクト。コンテンポラリーダンスを核とし、壮大な生命の物語が描かれました。スイスから12名のアーティスト、ミュージシャン、ダンサーが沖縄に滞在し、現地のダンサーや創作エイサー、ジュニアコーラスメンバーと緊密な絆を結びながら共同創作を行いました。本公演には、スイスと沖縄の人々が築いた心のふれあい(絆)が存分に込められていました。
観客は、舞台上で繰り広げられるダイナミックかつ感情豊かな演舞に心を奪われていました。スイスと沖縄のアーティストたちが共に創り上げた、「絆」をテーマとする本作品には、私たちの持続可能な地球と環境への考察のヒントがちりばめられていました。出演者たちは身体を通じて、言葉を超えた感情や物語を伝えました。
「KIZUNA」プロジェクトは単なる公演に留まらず、多くの地元の方々と共に持続可能な未来を見据え、行動を促す文化交流でもあります。今後の発展にもぜひご期待ください!
公演終了に寄せたメッセージ
メリンダ・スタンプフリ(演出・振付)
Kizunaプロジェクトは、スイス人の写真家で本プロジェクトの舞台美術を担当したセドリック・レニャール(Cedric Bregnard)と、スイス人の音楽家、ローランス・クルヴォワジェ(Laurence Crevoisier)との出会いから始まりました。この忘れがたい出会いから生まれた作品が「Les Liens(絆)」です。このコラボレーションから、メッセージとテーマをさらに深く探求したいという思いが生まれました。長年にわたってセドリック・レニャール、スイスのカステルカメラータで活躍する音楽家、野口悠治、そして私を結びつけてきた日本とその文化が、私たちのプロジェクトの共通のテーマとなりました。ダニエル・ロペスとの出会いと彼のサポートにより、2023年10月に宜野座村で最初のクリエイティブ・レジデンシーが実現しました。プロジェクトの本質に一歩近づき、「Kizuna」が誕生したのです。沖縄での出会いは、芸術的にも人間的にも想像を超える絆をアーティストたちの間に生み出しました。この最初のレジデンシーに続き、ヌーシャテル、マドリード、ミラノ、そして2024年10月には再び沖縄でレジデンシーが行われ、ついに夢が実現しました。インスピレーションの源である宜野座のがらまんホールで「Kizuna」の初演を迎えることができました。ショーの第一部は、沖縄のダンサー、名護ジュニアコーラス、エイサー太鼓、そして獅子舞による新しいバージョンの「Les Liens」です。これは2024年8月に沖縄で過ごした2週間の滞在の成果であり、その間に彼らと共に取り組み、このバージョンへと「Les Liens」を適応させました。この作品では、舞台上に登場する2人の音楽家を除くと、すべてが地元の方々でパフォーマンスが行われています。
「プロジェクト KIZUNA」 メリンダ・スタンプフリ
Kizunaのコンセプトは、地球に生きる私たちと天とのつながりを見いだし、身体を使ってその感覚を表現することです。観客も参加できる創造的なプロセスを通じて、私たちの独自性と自然とのつながりを探求します。
この創作プロセスは観客を取り込み、体の動きや黒いインクの線を通して、共通の表現への参加を促します。自然、先人たちの伝統、そして沖縄の土地の記憶との出会いが、私たちそれぞれの独自性と結びつくように呼びかけています。
新作「Kizuna」は、日本の沖縄の目を奪うような美しさから直接インスピレーションを得ています。自然の精霊が、島の洞窟や象徴的な場所で直接録音された音を取り入れた独自の音楽構成を通じて表現されています。この作品は、存在の壮大さに対する真のオマージュとして響き渡ります。
主役が進化する三つのシーンは、私たちに人間としての状態を呼び起こし、地球の養分を与えるマトリックスとつなげます。それは「誕生」「生命」「変容」です。
第一のシーンは洞窟を描写し、深みの安全さを表し、人間の誕生と構築について語ります。第二のシーンでは、彼は活動的な人生に踏み出し、外界の混沌や、本質から遠ざけようとする試練や誘惑に直面します。彼は抵抗し、暗闇の中で光のきらめきを見つけます。第三のシーンでは、旅の目的を示してくれるキャラクターとの出会いが描かれます。こうして、愛と生命の祝福の中で、自分の独自性を持って自由に生きることが始まります。
スイス・沖縄「KIZUNA」
公演日:2024年10月13日、14日 13:00開場 / 15:00開演
会場:宜野座村文化センター がらまんホール
プログラム
オープニングアクト:がらまんキッズ
第1部「Les Liens」伝統と家族
漆黒の地下世界。水と腐植が織りなす生命のゆりかご。根が深く張り巡らされた台地は、自然遺産を守り、家族の絆を育む。
1. Ink Fish 2. Milton 3. Prelude (Voëtland) 4 Voëtland 5 The Front of
第2部「KIZUNA―絆―」人生の道との出会い
記憶の樹皮がはがれ、魂が木霊のように響き渡る中間の世界。そこでは、自然が育んだ生命力が私たちを包み込み、金継ぎの光が新たな道を照らす。
過去の傷を乗り越え、私たちはそれぞれの自分の物語を紡ぎ始める。
舞台では「生命」の樹 が描かれ、「心象」の音が奏でられ、「記憶」の舞が人々を忘れかけていた記憶の世界へと誘います。
演出・振付 メリンダ・スタンプフリ
出演者
スイスより来日:Thibault Desaules, Wittha Tonja, Aurélie Laubscher, Romina Volantini , Lilou gerber-Huguet, Pascale Ecklin.
沖縄チーム:
環バレエアートスタジオ(内間るり子、泉川李佳子、仲里悉妃、宮本乙葵)Company Dream Art(松川夏子、上原なつき)、マイドリ・バレエスタジオ (渡久地円香、渡久地舞子) , KIN、沖縄・名護ジュニアコーラス、創作エイサーLUCK、がらまんキッズ
舞台美術 セドリック・プレニャール
企画構成・音楽監督 野口悠治 (スイス、カステルカメラータ)
作曲 ローランス・クルヴォワジェ
映像 ローラン・ノヴァク
衣装 ツォウ・ルナ
制作コーディネーター ダニエル・ロペス
写真・チラシデザイン 仲間勇太
テクニカルディレクター・制作統括 小越友也
音響・照明 サウンドデザイン音屋
後援 在日スイス大使館
協力 環バレエアートスタジオ
This event is part of the Swiss Vitality Days 2024, celebrating the 160th anniversary of bilateral relations between Switzerland and Japan, and takes place in the framework of Vitality.Swiss, Switzerland’s public diplomacy program on the road to Expo 2025 Osaka – Kansai.
SPONSORSHIP SWISS VITALITY DAYS|
ストーリーのカバー:
Photo by Yuta Nakama