スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り image
スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り image

スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り

2023年、クラブ・コンシェルジュ創立20周年を記念し、スイス・ヴォー州のトップクラスの4ワイナリーのオーナーたちが3月に来日するイベントが開催されました。伝統に根付く、1654年のスイスの古文書にすでにが登場するシャスラ種およびサステナブルなワイン造りについて紹介させていただきます。

スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り image

スイスワインの最高峰と称される「シャスラ」の故郷は、アルプスの雄大な景観を臨むヴォー州のレマン湖畔です。レマン湖北岸のラヴォー地区のぶとう畑は、2007 年にユネスコ世界遺産に登録されています。中でも、最も急な斜面であるデザレーとその西側に隣接するカラマンの2つのアペラシオン(原産地)からは、極上のシャスラが生まれます。

今からおよそ1万年前、ローヌ氷河の流れが、レマン湖をかたちづくるとともに、数百万年前の礫岩や堆積岩の上に、モレーンと呼ばれる氷堆石土壌を重ねました。大自然が繰り広げるドラマによって、フローラルなアロマとミネラル感のあるシャスラ種を生む唯一無二の土壌が生まれたのです。シャスラの歴史は古く、栽培ぶどうとしては最古の品種と言われて、ローマ人がこの地に最初のぶどうを植えたのは二千年前のことと言われています。11世紀に入ると、ベネディクト会やシトー会の修道士たちがレマン湖地域に急斜面を開墾し、その斜面を支えるための石垣を組み、壮大な建築物のような畑を造りあげました。このような切り立った斜面に位置する名門デザリーAOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレの略)と隣接するカラミンAOCで最高級のシャスラは生産されています。

スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り image

ワインの世界では以前から、エネルギー多消費型のインフラの近代化、灌漑用水の地下水から湖水への切り替えなど、エコロジーへの関心が高まっており、持続可能な取り組みを推進しています。ユネスコの保護下にあるラヴォーのブドウ畑では、動植物を保護するために、土地の管理やワイン造りにもさまざまな制限が設けられており、持続可能な農法、製法が厳格に守られています。

スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り image

ヴォー州の気候は湖の影響を強く受けており、ぶどう栽培に特に適した気候条件が整っています。特にラヴォー地区は豊かな日差し、レマン湖の反射光、そして石垣の輻射熱の「3つの太陽」があると言われており、ぶどうの木の生育に理想的な条件を提供しています。

スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り image

ラ・メゾンマッシ―/ ベンジャミン・マッシー氏
La Maison Massy / Mr.Benjamin Massy

ベンジャミン・マッシー氏はラヴォー地区に2つのモノポール畑を所有し、秀逸なシャスラを 育む造り手です。2019 年開催された 20 年に 1 度のワインの祭典 「フェット・デ・ヴィニュロン」でこのワイナリーを代表するワイン「シュマン・ド・フェール」の栽培責任者ジャン=ダニエル・ ベルテさんは、最優秀栽培家に選ばれ「ワイン造りの王」の称号 を授与されています。

スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り image

クロ・デュ・ラ・レ・ピュブリク  / パトリック・フォンジャラ氏
CLOS DE LA RÉPUBLIQUE / Mr.Patrick Fonjallz

創業1552年スイス最古の家族経営の醸造所でチャールズ・チャップリンが愛したワイナリー。パトリッ クさんは 13 代目の当主。シャスラの聖地として名高いデザレー とカラマンにグランクリュを所有。

スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り image

ドメーヌ・ド・ラ・ピエール・ラタン(ラティネ)  / フィリップ・ジェックス氏
Domaine de la Pierre Latine / Mr. Philippe Gex

イヴォルヌをスイス初のオーガニック・アペラシオンとすることを目的としたプロジェクト「イヴォルヌ・グランドゥール・ナチュール」に取り組んでいます。ブドウの木はすべて、3年間有機栽培で育てられています。

シャスラの真価を確信し、常にトップを志向。シャブレ―地区の ポテンシャルを最大限に引き出す造り手。現在は、世界最大の製 薬会社ロッシュのオーナー一族とジェックス氏の共同経営。

スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り image

レ・フレール・デュボア  / グレゴアール・デュボア氏
Les Fréres Dubois SA / Mr. Grégoire Dubois

世界遺産であるラヴォー地区のぶどう畑の中でも、とりわけ秀逸 なシャスラを生み出す「デザレー」。デザレーで最も標高が高い エリア「デザレー・マルサンス」で、育むシャスラから極めてエレガントなワインを醸造する造り手。太陽光パネルを農場の屋根に設置、ガソリンの排出量を減らすために電気自動車を取り入れるなど、サステナブルなワイン造りをめざしています。

スイスのシャスラワイン、伝統とサステナブルなワイン造り image