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バイタリティを見つけて 公募写真コンテスト受賞作品展

スイスと日本との国交樹立160周年を記念して開催された「バイタリティを見つけて」公募写真展(会期:2024年10月9日-24日)。スイス大使館とSHIBAURA HOUSEの共同主催による本展は、多様な視点から写真に捉えられた様々な「バイタリティ」により、スイス・バイタリティ・デイズ期間中の対話と共創の場を提供しました。(協力:FREITAG)

© Forward Stroke Inc.

このプロジェクトは、スイスと日本の文化的なつながりを深め、バイタリティについての共通理解を促進することを目指しています。約100点の応募作品の中から、自然や日常の瞬間、特別な風景に息づく多様な生命力をとらえた7作品が選ばれました。これらの作品は、両国の生活に宿るバイタリティ、美しさ、力強さを映し出しています。

また、Vitality.Swissアンバサダーであるバジル・クレーア氏による特別展示も行われ、スイスと日本の美意識を反映しながら、バイタリティの探求がさらに広がりました。

本シリーズは、バイタリティ(活力)をテーマに、東京の過密さからの逃避と自己再生の過程を映し出しています。幼少期から山奥の僻地に強く惹かれていた私は、その思いに導かれ、キルギスの高地へと旅立ちました。現地に育った友人と共に数週間を過ごしながら、遊牧民の暮らしや秘境の風景を探求し、この地の果てしない広がりと手つかずの美しさを記録しました。壮大な山々に囲まれた遊牧民コミュニティの日常を通じて、彼らの特別な生活に光を当てると同時に、生命力と人間の繋がりを再発見する試みです。キルギスの広大な地平線は、私自身の内なる再生と、未来への新たな展望を育む貴重な時間をもたらしてくれました。
バジル・クレーア

展覧会のハイライトの一つは、10月11日に開催された表彰式です。受賞者やその家族、友人、写真愛好家が会場に集まりました。ロジェ・ドゥバッハ次期駐日大使をはじめ、審査員の伊東勝氏(SHIBAURA HOUSE)、イングリッド・ドゥバッハ=ルマンケ氏、深井佐和子氏(TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH)、バジル・クレーア氏が、クリエイティブな貢献を称えて受賞者を祝福しました。また、不在だった審査員の小山泰介氏(TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH)の審査結果も反映されています。表彰式には、伊東賞を受賞した濱野祥三氏と一般投票賞を受賞したレネ・ハウザー氏が出席し、FREITAGからの贈り物を含む賞品がその場で贈呈されました。

このコンテストは、アートを称えるだけでなく、持続可能で豊かな未来を築くための「バイタリティ」について考える場にもなりました。展覧会は、スイス・バイタリティ・デイズの期間中に開催され、アートや革新、協力を通じて、より活気ある持続可能な社会を築く方法を訪れた方々に提案しました。

優勝作品

最優秀賞:長谷川 大悟『継承』
スイス大使特別賞:伊藤 龍人『限界集落 大長谷で生きる』
審査員セレクション賞:海馬 坂田『あわい』(小山賞)、ドム『(ΑΩ)アルファ・オメガ』(クレーア賞)、ヤン・アルベルト・エッカート『活力の休息、トゥヴァンバッハ峡谷、スイス』(深井賞)、はまの省蔵『「光のある未来」へ』(伊東賞)
一般投票賞:レネ ハウザー『仏陀の翼: バイタリティへの考察』

審査員

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左列上から下へ:深井佐和子、小山泰介
右列上から下へ:伊東勝、イングリッド・ドゥバッハ=ルマンケ、バジル・クレーア
イングリッド・ドゥバッハ=ルマンケ | 美術評論家

1976年生まれ。パリのソルボンヌ大学で美術史を学んだ後、スイス連邦美術コレクション(ベルン)をはじめ、フランスとスイスの公私を問わず、多くの美術コレクションでキュレーターとして数年間活動した。現在は、フランス語およびドイツ語の美術関連誌でフリーランスの美術評論家として活躍しており、夫であるロジェ・ドゥバッハ次期駐日スイス大使と共に東京に住んでいる。

深井佐和子 | インディペンデント・キュレーター / エディター

1981年東京生。上智大学文学部卒業後、2008-2018年まで東京でギャラリーディレクター及び編集者として勤務し独立。2014 よりロンドン及びアムステルダムに在住し、ヨーロッパの美術館、アートフェア、出版社とともにアートや編集のプロジェクトを多数手がける。現在は東京に拠点を置き、国内外のクライアントと共にブランディングや編集プロダクションを行う傍ら、国際交流企画、都市とアートについての研究プロジェクトを主催するなど、様々なアートプロジェクトに関わっている。2018年よりTOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCHプロデューサーを務める。

伊東 勝 | SHIBAURA HOUSE 代表取締役

2011年、父親から引き継いだ製版会社の社屋を建て替え、SHIBAURA HOUSEとしてリニューアル。建築家の妹島和世さん(SANAA)によってデザインされた社屋の一部を開放し、地域に暮らす人たちのコミュニティスペースとしても運営。近年は社会課題とクリエイティブを結びつけたプロジェクトにも力を入れている。

小山 泰介 | 写真家

1978年生まれ、東京出身。生物学や自然環境について学んだ経験を背景に、実験的なアプローチによって制作された写真作品や映像作品、インスタレーションを発表している。特に近年は、ハンドスキャナーや3D技術を用いてポストデジタル時代における「センシング」をテーマとしたイメージメイキングの可能性を探究している。文化庁新進芸術家海外研修制度によって2014年より2年間ロンドンに滞在し、その後アムステルダムでの活動を経て2017年末に帰国。2018年より、「都市の多角的なリサーチ」や「現代写真の実践的な探求」などをミッションとしたコレクティブ「TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH」を主宰。日本の現代写真表現における文化的・社会的・経済的なプラットフォームとしての活動に尽力している。

www.tiskkym.com
www.tokyophotographicresearch.jp

バジル・クレーア (Basil Kräher) | グラフィックデザイナー、フォトグラファー、ファッションモデル

国際的な広告代理店、HAVAS Switzerlandやイノベーション・エージェンシーのARTSNEXTでインターンシップを経験。この経験の中で、彼は日本のデザインの複雑さに出会い、「もののあわれ」のような深遠な美的原則に即座に魅了され、2020年来日。以来、ファッション、音楽、アート関連のクリエイティブ、アートディレクションでのコラボレーションを多数手がける。他分野が交差するコンセプトとプロセスを構想し、実際的なアプローチを育むことが、未来の軌跡を左右すると確信している

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ストーリーのカバー:
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