エピソード2
自分はどこから来ているのか―文化・過去とつながることで生まれるバイタリティ
ある夜、旅先のモロッコの砂漠で「自分の人生を生きねば」と啓示を受けたように思い立ち、成功していた仕事も部屋も全てを投げ捨て旅に出たスペイン系スイス人の青年、ダニエル・ロペスは、東京で出会ったカラオケの三線の音色(THE BOOMの島唄!)に導かれ、沖縄へとたどり着きます。果たして沖縄の地に立ったその2日目に「ここ」であることが判明!そうして沖縄に暮らすことになり20年、今では沖縄在住のスイス人映画監督・写真家、そして故郷のジュラと沖縄を結ぶ交流プロジェクト「ジュラ・沖縄」の開催と大活躍の日々です。
今回のVitality.Swissポッドキャストでは、新作ドキュメンタリー作品『ウムイ 芸能の村』の全国劇場上映を控えるロペス監督に、監督の生い立ちから沖縄に至るまで、そして故郷ジュラと沖縄の人々のことをお聞きしました。生活に根付いた芸能・文化に生きる沖縄の人々を見つめる監督は、自分はどこから来て、いったい何者なのか知ること(アイデンティティ)がバイタリティにつながると言います。さらに、いろいろなことが起きている今の世の中で『ウムイ 芸能の村』に登場する人々の生活を見ていると、ゆったりとしていて癒しになるとも。私はどこから来ているのか、少し立ち止まって、皆さんも一緒に考えてみませんか?
『ウムイ 芸能の村』https://umui-cinema.com/
ポッドキャスト内でご紹介『ウムイ 芸能の村』挿入歌
「千年の恋」作詞:島袋拓也 作曲:石川一機 編曲:ドゥニ・フォンタナローサ 歌:南絵茉 ピアノ:ドゥニ・フォンタナローサ
創作舞踊のシーンに使われている本作品を象徴する音楽。ピアノを使用するなど新しい音と沖縄の音楽とのリミックス。「文化も混ぜないといけない。そうしないと進まない(監督談)」
「サイヨー節」唄・三線: 仲村渠達也 仲田知広 箏:宮城秀子 太鼓:金城安恵 歌:宮城小寿江
琉球舞踊の宮城流豊舞会家元、宮城豊子さんが劇中で語る戦時中の思い出のシーン。空襲から避難した防空壕の中でサイヨー節を踊ろうとして…
ダニエル・ロペス
スペイン系スイス人。1970年にスイスに生まれる。2003年より沖縄に拠点を置き、沖縄県立芸術大学大学院修了。映像製作・カメラマン・テレビのパーソナリティなどを務める。2016年に初の長編ドキュメンタリー『カタブイ、沖縄に生きる』を、2020年に『KAKERU 舞台の裏の物語』を監督。3本目の長編ドキュメンタリー作品『ウムイ 芸能の村』(2022年)は、2022年東京ドキュメンタリー映画祭の人類学・民俗映像部門でグランプリを受賞。