2024年6月、在日スイス大使館は、スイスの活力と多様性を示す直接民主制を、日本の学生に体験してもらう学校交流事業を、東京都立広尾高等学校の協力により実施しました。スイス大使館の職員が高校でスイスの文化や政治制度を紹介し、生徒はイニシアチブ(国民発議)を疑似体験する2回のプログラム。Vitality.Swissのプログラムのひとつとして行われるこの「イニシアチブを体験しよう」プロジェクトは、生徒自身がそのプロセスを体験することで、政治参加への理解を深めることを目的としています。
スイスの政治システムの特徴である直接民主制は、国民が連邦政府の決定に意見し、スイスの憲法改正を提案することを可能にする制度です。多様な言語と文化が共存する連邦国家スイスにとって、政治への幅広い参加の機会はとても重要です。1848年以降、スイスでは、共同決定の機会が拡充されてきました。様々な方法によりできるだけ多くの少数派を取り入れることが可能となり、これはスイスの重要な政治的特徴となりました。
「イニシアチブを体験しよう」プロジェクトでは、生徒たちが直接民主制の柱であるイニシアチブ(国民発議)を検討・発議し、投票します。スイスの直接民主制や政治システムを学びながら、建設的な議論を行い、政治参加についての理解を深めることを目的としています。
東京都立広尾高等学校の協力により実施した今回には約200名を超える一年生が参加。イニシアティブ(国民発議)のシミュレーションは、2つのセッションで構成されています。第1回目の6月5日には、ダビッド・ブラウン公使をはじめとする大使館職員がスイスの文化や政治制度を紹介。
第2回目となる6月26日には「働き方改革を進めるため、水曜日を休日とする」というイニシアチブの賛否についてグループごとに議論が交わされました。各グループの代表者がグループの意見をその理由と共に全員に発表。その発表を元に総投票が行われ、最後は論評で締めくくられました。
イニシアチブという聞きなれない概念に、最初こそ戸惑う生徒の姿も見られましたが、プログラムが進むにつれ、様々な視点からの意見が交わされ、建設的な議論が行われていました。イニシアチブが(仮に)採択された場合の社会の変化まで考慮する姿も!
本プロジェクト終了後の生徒のみなさんから送っていただいた感想はこちらをご覧ください。
参加した生徒の皆さんが今回の経験から得るものがあったことを期待しています。また、ご協力いただいた教諭・関係者の皆さまに心から感謝をいたします。